こんにちは、望幸です。7月に入り、2021年(令和3年)成人の方は成人式まで半年を切り、成人式どうなるのか、ソワソワしているのではないでしょうか?

先日、富士市はホームページで例年通りの開催予定という事で式典会場であるロゼシアターを着付け会場として予約してきました。

コロナ禍の今後の状況で開催方法など変わるかもしれませんが、開催してくれる意思を表明してくれるだけでも、お嬢様をはじめ、ご家族様もホッとしておられるのではないでしょうか?

また、望幸でも各自治体の発表を注視してホームページ上でもご紹介したいと思います。

…と前置きが長くなってしまいましたが、先日、振袖の色や柄についてブログでご紹介させて頂きましたが、今回は、簡単に、その色や柄を表現する職人技や伝統技法についてご紹介したいと思います。

振袖の色や柄についてはこちらから→2021年(令和3年)成人、2022年(令和4年)成人の方、必見!皆さんが着る振袖の色や柄には、流行や好みだけではない先人の想いや願いが込められている!

着物の色や柄を創作する基本的な技法というのは、主に『染め』『絞り』『刺繍』で表現されていてその加工の違いによって色の出方や柄の立体感が変わり、手間がかかる程、値段も高くなるし、着用した時の雰囲気も変わってきます。最近では、職人の手仕事だけでなく、機械化されて機械の加工技術も向上した為、様々な技法が存在します。

染め

◎友禅染め

糊置防染法による文様染めで、石川県金沢市で生産する加賀友禅と、京都で生産する京友禅があります。

●京友禅

京友禅は元禄時代に京都で生まれた友禅染めのことで、京都の伝統工芸品の一つです。かつては鴨川の流れにさらして着物を仕上げる「友禅流し」が盛んでした。

特徴は豪華な図案柄や模様柄が多く、刺繍や金銀箔などの装飾が施されています。

型友禅や手描友禅があり、工程が全て分業制です。それぞれの技法を伝え継いだ、たくさんの職人さんたちの手によってつくられています

三大友禅の中で最も豪華な着物です。現在も舞子や芸者などの京文化が栄える京都らしい着物ともいえます。

●加賀友禅

加賀友禅は、写実的で絵画調な画風が特徴で、草花、鳥、山水を主とした大変に細かい模様の手書きで、糸目糊による白い線がとても美しいとされています。

基本的に作家一人で作業を行います。

臙脂(エンジ)、藍、黄土、草、古代紫の加賀五彩と呼ばれる色を基本に多用され、濃淡のグラデーションを表現する『ぼかし』や草の『虫食い』表現といった独特な技法があります。

三大友禅とは、上2種類に『東京(江戸)友禅』を加えての呼称です。

◎紅型

紅型の「紅」は「赤い」という意味ではなく、「色全般」のこと。

「型」は様々な模様・柄を指しているといわれています。

赤色を中心に、緑、青、黄色などのはっきりとした鮮やかな色合いが特徴で、琉球時代からのその独自の技法によって仕上げられた美しい染め上がりの柄は、多くの人を魅了し愛されています。

 

●本紅型(琉球紅型)

本紅型染めは型に糊を置いていきその糊の間に手で色を挿していきます。

天然染料の鉱物性の顔料を微粒子化させた物を使用。

本来、顔料は粒子が大きく不溶性でとても染まりにくいが、南国の強い太陽光の中でも色が褪せにくいという特徴があり上手く取り入れられています。

そして何より独特の柄です。

中国と本土の影響から古典柄も多くありますが芭蕉、魚といった沖縄の自然や風物が取り入れられ独特の雰囲気を醸し出しています。

紅型を詳しく紹介したブログはこちらから→琉球びんがた 伝統を受け継ぐ美しい紅型「紅型職人・城間栄市さん」の 城間びんがた工房にお伺いしました。

●京紅型

京紅型は、友禅染の染料で染められることが多く、はんなりとした色合いのものが多いです。

基本的に紅型友禅は型染めではあるものの、色注しは手ざしを用いられ、染色工程に掛かる時間のほとんどが、その手ざしの手間となります。

「栗山紅型」と称される、特徴的な彩色のコントラストは、その技法により表現されています。

 

●インクジェット

インクジェットプリンターで染色されている振袖は非常に多くなりました。だって、あんなに細かくボリュームのある柄を人間が手書きで染めたら、朝から晩まで作業しても3か月はかかりますよね。

インクジェットで染められた振袖は量産でき、価格も手書きに比べれば半分以下と安いのが特徴です。しかし、インクジェットの振袖だからといって、振袖の柄が非常に細かく繊細であればそれだけインク代やスタッフの作業時間もかかります。

最近ではインクジェット物もクオリティが向上していて、中でもハイクオリティの物は僕たちのような専門店からみてもコストパフォーマンス的に「いい出来」と思える物もあります。

 

◎絞り

振袖だけでなく着物でも使われる技法の「絞り」。絞りとは絞り染めの略称です。

絞りではまず生地を指でつまみ、その周りを丸く糸で縛ります。この一つ一つを「粒」と呼ぶこともあります。

そして、糸で縛った部分を染料の入った容器(お皿など)につけ、時間をおきます。

1~2時間後に糸をほどくと、立体的で丸く白い水玉模様のようなシボと呼ばれる柄が現れるのです。

絞りは細かいシボが集まってできる柄ですが、手作業のため完成まで大変な時間を費やします。

その歴史は古く、その由来は中世まで遡ると言われています。

織田信長と豊臣秀吉が権力を握っていた安土桃山時代に絞り染めは注目され、江戸時代には庶民派と高級路線というようにだんだんバリエーションが増えています。

現在では、絞りのようにみせかけたプリントものもたくさん販売されています。しかし、絞りは本来、伝統のある高級品であることに間違いはありません。

①総絞り

生地の全体を絞りで染め上げたものが総絞りです。

職人が製作期間1~2年以上をかけて手作業をする総絞りは、価格でいうと100万円以上、ものによっては500万円するものもあるほど高額です。

間近で見ると細かい作業に圧巻の感想を持つことでしょう。まるで着る事のできる美術品のようです。

しかし、国内の職人ではなくアジアの工場など工賃が安い場所で作られているものや、一見総絞りに見えるけど実はプリントをしたものに凹凸をつけて総絞り「風」にしているものも現在は流通しています。

また、素材が絹ではなく綿やポリエステルのものであればより安価になります。

 

②鹿の子絞り

絞りの粒は小さく、鹿の子の背中の斑点に似ていることから鹿の子絞りと言われています。

鹿の子絞りは部分的なものと、総絞りのものがあります。京都で作られ上等な絹製のものは京都鹿の子と言われています。

鹿の子絞りと京極絞りの技法は似ていて、生地を針などで一つ一つつまみ糸で巻くのですが、この回数によって鹿の子か京極かに分けられます。

鹿の子絞りは7~9回ですが、京極絞りでは2回と巻く回数が少なくなっています。

③疋田絞り

ひった絞りと呼びます。

布目に対して45度の角度で鹿の子絞りを隙間なくびっしりと絞ったものを疋田絞りと言います。

疋田絞りは一つの粒につき綿糸を4回巻きます。本疋田絞りと言われる絞り方は糸を7回巻きます。

粒が細かいほど、粒の数が多いほど熟練の技が必要です。また粒が均一にまっすぐそろっている程上質な絞りとなります。

◎刺繍

●金駒刺繍(きんこまししゅう)

刺繍針に通せない太い糸や、金糸などを、木製の駒(糸巻きの一種)に巻いてそれを転がしながら刺繍糸を下絵に沿ってはわせ、綴糸(とじいと)で留めていく技術です。中でも金糸を使ったものを『金駒刺繍』と呼びます。

刺し終わった後、上から鹿革でなめして金糸をピタッと生地に密着させることにで、金糸の風合いが一層増しています。金駒刺繍の立体感により、お着物の華やかさと豪華さが引き立ちます。

銀糸を使った物もあり、こちらは、『銀駒刺繍』と呼びます。

 

●蘇州刺繍(そしゅうししゅう)

中国江蘇省にある”蘇州市(そしゅうし) “で2,500年も前から伝わっている刺繍です。僕たちの間では、平縫いと呼んだりしています。

使用する糸が極めて細く刺繍面が盛り上がらないため、表面が滑らかなのが特徴。また両面刺繍という技法により表裏どちらから見ても糸の結び目がなく、両側から見ても美しい仕上がりになります。

その写実的で繊細な仕上がりから“絹の絵画”とも称されています。

 

 

 

まとめ

私共、呉服専門店は、より豪華により個性が生きる振袖をご覧頂くお嬢様にご提供したいと思い、仕入れの際にもこのような技法の表現の違いを見て選別しております。

最近は、新柄の振袖をオーダーレンタルで借りることが出来たりする事でレンタル価格も購入価格と変わらなくなってきていたりして、単純な金額では物の良し悪しはわからなくなってきております。今回、こういった職人の技術を紹介することでお見分けする際にこんな技法の振袖が見たいと思って頂ければ、うれしいし、ご自身の着用する振袖がある方は、うんちく程度でも自分の振袖の加工技術を知るとさらに、愛着がわくのではないでしょうか?

例年より日数が少ないとはいえ、8月、9月は夏休みです。新作の振袖も大量に入荷し、皆様がお見え頂く準備は万端でございます。お見えの際に振袖技法の事を聞いてみると販売員はにこにこして教えてくれると思いますので、質問してみてはいかがでしょうか?

 

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創業82周年を迎える望幸は、

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