沖縄の自然感じる沖縄一、長寿の里、大宜味村喜如嘉で戦火にも負けず、おばあ達が守り、伝えてきた手仕事の難しさを知る!
望幸 沖縄本島&久米島研修 芭蕉布会館工房見学&糸作り体験!
ハイサーイ!梅雨も明け、8月に入り夏真っ盛りとなりましたが、皆様、熱中症には、くれぐれもお気を付けくださいませ。
今回、7月23日~25日の3日間、お店をお休みして行ってきた沖縄本島&久米島研修旅行を記事にしたいと思います。
(冒頭の挨拶は、沖縄の雰囲気が出るかなぁ?と使ってみました…(^_^;))
私自身は、2年前の3月にお客様の工房見学ツアーに同行させて頂いており、2回目の沖縄でしたが、じっくりと沖縄を味わう旅行となりました。
ここ数年、望幸のイベントや展示会でも、沖縄の染織品をご紹介してきたこともあり、いい機会だから社員全員で勉強に行こう!と社長の鶴の一声で“琉球びんがた”、“喜如嘉の芭蕉布”、“久米島紬”、“琉球絣”の4つの工房見学をさせて頂きました。
この記事では、“喜如嘉の芭蕉布”についてご紹介させて頂きたいと思います。
“喜如嘉”とは、沖縄本島の北部、大宜味村の喜如嘉という小さな部落で那覇市内から高速道路を通り、1時間半くらい走った自然に囲まれた地域で織られていて、バナナの仲間になる糸芭蕉という植物の茎の繊維を糸にしておった物を芭蕉布といい、国の重要無形文化財に指定されており、夏の着物や帯に用いる事が多い布の事です。
…簡単に言ってしまうとこんな説明で終わってしまうのですが、この芭蕉布、沖縄の織物の中で最も古い歴史があり、13世紀にはあちこちで織られており、琉球王朝に献上品として贈られていた高級品でした。
第2次世界大戦が起こり、衰退しかけていた芭蕉布づくりを再開し、伝統工芸品となるまでに高めたのが、人間国宝の平良敏子さんという方で御年、なんと98歳‼ ちなみに、日本一の長寿の沖縄県でも、大宜味村は沖縄一長寿なんですって!
現在は、義理の娘さんである平良美恵子さんが、組合の理事長となり、後進の育成と芭蕉布の魅力を各地に伝えるべく奔走しております。今回の訪問では、少ししかお顔を拝見できませんでしたが、2年前は、工房内をご案内して下さいました。
お邪魔した芭蕉布会館は、静かで緑豊かな場所でオオシマゼミという沖縄地方にしかいないセミがカンカンとサイレンの様な鳴き声でお出迎えをしてくれ鳴き声にびっくりしながら会館の中に入り、作業工程の見学をさせて頂きました。
では、簡単に芭蕉布が出来上がるまでの工程を紹介しながら見学&体験の様子も入れていきますね。
1、糸芭蕉の栽培
前回は、3月という事で葉も枯れていましたが、今回は、夏真っ盛りという事で青々とした糸芭蕉畑。
157cmの私と比較すると大きいですね!
繊維を柔らかくする為に葉や芯を切り落とす「芯止め」という作業を何回もするのだそう。今年は、台風が少ないので倒れていないが、収穫する10月まで大きく育った糸芭蕉が倒れないか心配になるそうです。
着物1枚分は、この茎200本分使うそうです!
2、荢剥ぎ
外側の皮から1枚ずつ剥いで4種類に分けます。わが社、社長とその仲間たちが剥ぐ作業に挑戦!
意外と「簡単そうだな…」とボソッと言うと社長たちから「簡単じゃねえよ!」と鋭い返しがありました(笑)
4種類に分けた用途と名称がこちら。外側から順に
「うわーはー(上皮)」 座布団地など
「なはうー(中荢)」 帯地など
「なはぐー(中子)」 着物地(4つの中で一番、上質な部分)
「きやぎ」 中心部分 染色糸
3、4、荢炊き&水洗い 荢炊きなどで使う鍋と釜 煮炊きする木が沖縄本島で入手しにくくなって本土から取り寄せているそうです。
5、6、荢引き&乾燥
7、チング巻き 荢績み(うーうみ)で使うように水に浸したチング巻き
8、荢績み (うーうみ)
さあ、いよいよ、糸作りです。簡単に言うと細く繊維を裂いて長くしていくのですが、丈80cmの繊維を裂いては結び、裂いては結びを繰り返して1本の均一な糸にするのですが、反物の長さを考えると…(汗)1本につき、約16回でしょうか?1反分の糸を作るのに、22000回これを繰り返すことになります!!!
これが、本っ当に難しい!乾燥すると繊維がぼそぼそになるので適度に水に付けながら、やってみたのが写真の結果です(汗)私、この仕事向いてないと心底、思いましたが、他の皆は、楽しそうにせっせと裂いておりました(笑)
教えてくれた職人さんによると、この作業の結果が、糸の良し悪し、ひいては、製品自体の良し悪しを決定づける肝心な作業という事で、製作工程の中で最も経験のいる作業とのことでした。
9、経管巻き
10、撚り掛け
11、整経 経糸の長さと本数を決める
12、煮綛(木灰汁で煮る)
13、絣糸作り 染めない部分にウバサガラ(糸芭蕉の皮の裏側)を巻いて更にビニール紐で固く結びます。
14、染色 染料は、沖縄由来の植物、車輪梅と琉球藍と想思樹を使います。
15、16、17、染め上がった糸は、ビニール紐とウバサガラを外し、糸繰りをし、デザインに沿って仮筬に通します。
18、 巻き取り 経糸を絣がずれない様にマチャという棒にぴんと張り巻いていきます。
20,21綜絖通し&筬通し 仮筬から糸を外し機の上に置き綜絖(そうこう)という経糸を上下に分ける器具に糸を通します。
22、機織り ここまで来てやっと反物に!
23、洗濯 反物を水洗いしてまた、煮て水洗いして米粥で作った“ユナジ液”に付け中和させて丈夫な糸にし、引っ張ったり、湯飲み茶碗でこすり布目を合わせて完成!
今回の旅行で再認識したのは、まず、現地の職人さん達の我慢強さ、そして、根気強さという物が沖縄の伝統工芸品を支え、世の中に素晴らしい物を、存続させてくれているのだという事を思いました。そして、水を使い、乾燥に特に気を使いながら終始、作業しているのも印象的でした。
芭蕉布は、文明の進んだ現代社会の中で昔からの製法をずっと守り続けてきたからこそ重要無形文化財になっているのだなと…。
そりゃあ、お値段もするわよね?と思った研修旅行でした。
チャンチャン♪