こんにちは 望幸呉服部です!先日社員研修で、紬のルーツ久米島まで行ってきました。 沖縄那覇空港から 飛行機で30分人口7800人の小さな島です。
現在、日本全国で織られている紬はインドが発祥と言われ約500年前に久米島に伝わってきたそうです。今では、養蚕から製糸、染色、機織りまで機械化や分業制になり効率化が進んでいますが、ここ久米島では今でも全ての工程を、一人の職人さんが行っているそうです。口で言うのは簡単ですが、一つの工程でも習得するのに何年もかかるのに、機織りを習得するまでに一体何年かかるの?ですよね。(笑)
実際に今回の研修は、想像の範囲をはるかに超えていました。この感動を紬が出来上がるまでを時系列でご紹介したいと思います。

製糸
繭は黄金色をした、春嶺鐘月(しゅんれいしょうげつ)という原種で琉球多蚕繭糸の一種(通常一匹の蚕が繭を作るのに対して4~5匹の蚕が繭を作る)です。
この繭は,繭の層がたいへん薄く 長い糸を引くのが難しい為、一旦真綿にした上で、糸の様子をみながら繰ることが出来る手引き操糸(つむぎ糸)にして 緯糸に用いられます。
よく紬の産地の紹介で、片方で糸車を回しながら、真綿より両手を巧みに使い糸を引き寄せる映像をご覧になった方も少なくは無いと思いますが、大変手間と時間がかかる作業です。

原種の保存と技術の伝承の為とは言え、この段階で既に”神”です!

図案の作成
図案の作成には、御絵図帳(琉球王国時代に描かれた絣織物のデザイン画)を基に文様の配置や色、絣の位置などをグラフ用紙に描いていきます。
この図案の上から木綿糸を経緯に貼り、映して行きます。この糸が絣糸を作る時の絣の位置を決める元の糸(種糸)になります。
特に経糸は糸の張(テンション)を強くするため誤差を最小限に抑える必要があるそうです。

絣糸作り
先に作成した図案を基に実寸での経糸緯糸の数を計算していきます。そこで必要な数だけ束ねた糸に(80~100本)種糸を重ね印をつけます。
印を付けた所を木綿糸や化繊の紐で括り防染します。そこの部分が、柄になるわけですね。 とっても地味で限りなく根気のいる作業ですね!

写真は、括り終わった糸です。白い所が括り防染の部分

染色
ここでちょっとビックリ!久米島では、糸を染める染料は、化学染料は一切使わず、久米島に自生する草木や土で作られているそうです。
久米島紬は、正に久米島の自然と大地の色なんですね!

そんな草木染料の中でも、茶色に染まるグールは、山にしか自生せず根っこの部分の芋の所を使用するため、採取するのに傾斜と、時にはハブとの戦いになるそうです。(組合長 談)

機織り
やっと機織りかなーと思いきや!準備がとってもたいへんで、重要なんです。
経糸が約1200本!地糸を同じ力でドラムに巻き取り、絣糸は図案(30cm位)を経糸の下に置き、1本1本丁寧に絣の位置を合わせながら経糸を張っていきます。
天候に左右されやすい工程なので、熟練の技術が試される所です。

この大変な準備が、一つのパターン(図案約30cm)を織り上げるたびに何度も何度も行わなくてはなりません。

そして織の工程に入ります。製糸の工程で紹介しました手引き操糸を緯糸に織り込んでゆくのですが、糸の太さや強度などが安定していないため、
気温や湿度、打ち込みの強弱など慎重に見極めて織り込んでいました。特に柄(絣)の部分は、更に慎重に、図案と経糸の絣の位置を確認しながら最善の注意が必要です。

見学させていただいた自分もついつい、息を吞む瞬間でした。

洗い
ぬるま湯で、のりを洗い落とした後 天日干し、流石久米島!広げたとたんドンドン乾いて行くのが分かります。

きぬた打ち
きぬた打ちは久米島紬独特の仕上げ作業で、適度の布の湿り気と杵で叩く事で紬の光沢と風合いが良くなる重要な仕事です。
また布面に折線がでないような工夫と、杵の角で布を切らないよう平行に打たなくてはならないので、熟練の技術が必要です。
綿布で包んできぬた打ち台の上に固定された布を、約5キロの杵を用いて二人がかりで交互に力いっぱいたたきます。5分程たたき、反物をたたみ直し内側と外側の位置を3~4回程取り替え約30分程打ちます。
まるで餅つきのようですが、実際杵を持たせてもらったのですが餅つきの杵より、かなり重く感じました。

これを女性だけで打つのですから驚きです。
更に 反物は湿っているのでさらに天日干し乾燥させます。再度丁寧にたたんでさらにきぬた打ちをして仕上げます。このような仕上げに約半日以上かかるそうです。

以上久米島紬ができるまでを、ご紹介しましたが、実際にはまだまだ沢山の工程がありました。全てをご覧いただくには時間がないので、かなり割愛させて頂きました。
久米島紬は,こんなにたくさんの工程を一人の職人さんが手掛けるので、証紙には必ず作り手の名前が記入されています。
久米島の皆さん、組合長さん 大切な時間を私たちのために頂きまして有難うございました。久米島紬の素晴らしさを沢山お伝えしたいと思います。

チョット、ひと休み( ´艸`)
強行スケジュールの研修旅行!
社長の計らいで、ボートをチャーターして、はての浜へ!
みんな子供のようにはしゃいでいます((笑)

久米島にお越しの際は是非オススメします。